履修漏れ
9月23日(金)秋分の日に
八王子の中学校、理科大量履修漏れ 古い指導要領で授業 asahi.com2011年8月26日
担当教諭が過って古い学習指導要領をもとに授業をした。
中学校では来年度から、学習内容や授業時間数が今より多い新学習指導要領が実施される。現中3には中1からその一部を前倒しして教える規定だ。
ところが市教委によると、同校では2年間にわたり理科担当の教諭が勘違いして今の指導要領をもとに授業をした。このため「水圧と浮力」の一部など、新指導要領で増えた分の学習内容が欠落した。授業時間数そのものは新指導要領の定めに沿っていたという。(要旨)
「履修漏れ」 対応遅いと不満の声 東京・八王子の中学 asahi.com2011年9月3日
八王子の中学校が3日、臨時の保護者会を開き、放課後などに40~20コマの補習を実施すると説明した。しかし、保護者からは学校の対応の遅さに不満の声が漏れた。
同校では昨年、理科担当教諭の勘違いで古い学習指導要領に沿った授業を行い、新指導要領で増えた内容の一部や実験などを扱わなかった。放課後などに補習を行うという。(要旨)
中学理科指導漏れ 校長の処分検討 八王子市教委 東京新聞2011年8月31日
理科の新しい学習指導要領に基づいた指導内容の一部を教えていなかった問題で、処分を検討する考えを明らかにした。
学校側は当初、市教委に「二年生は九時間分、三年生は六時間分の指導漏れがあった」と説明していたが、市教委が調べたところ、〇九年度の一年生と一〇年度の一、二年生で、新要領が重視する実験や観察が不足していたことが分かり、同校は二年生は二十時間、三年生は四十時間の補習を行うことにした。
三年生は一学期に二十時間を実施済みのため、二学期以降、二、三年生とも二十時間の補習を行う。九月三日に保護者会を開き、経緯を説明して謝罪する。
新要領は二〇一二年度から全面実施され、〇九年度の一年生から一部を前倒しで教えることになっている。同校の一〇年度の一、二年生の年間指導計画は、ほとんど旧課程のままだったが、実際の授業では新要領に基づいた冊子が使われ、市教委は「教えるべき内容をまったく教えない『未履修』はなかったが、不適切な授業だった」と結論づけた。(要旨)
理科新要領踏まえず授業八王子・中2、3年生補習必要 (2011年8月31日 読売新聞)
八王子市教委は30日、昨年度、理科の授業で新学習指導要領を一部踏まえていない年間学習計画が立案されたり、内容が不十分だったりした点があったとして、同校を指導したことを明らかにした。同校は改善のため、3年生(4学級)で40コマ、2年生(同)に20コマの補習が必要と算定しており、同校で実施方法を検討している。
市教委によると、同校が立てた昨年度の理科・2年生(現3年生)の年間指導計画で新要領での追加内容全部にあたる10か所、同・1年生(同2年生)の計画で5か所の内容が欠落していた。
実際の授業でも、本来なら新要領で「観察、実験を通して」学ぶとしている内容なのに写真や資料で済ますなど不十分な部分があったことが判明。今月上旬に同校に対し、補習計画を立てるよう指導した。
ただし、授業数は新要領にのっとり、追加内容部分の補助教材も使われ、単元は網羅されていたとし、市教委は「履修漏れ、未履修はなかった」と結論づけた。
新任の理科講師が学校に指摘して発覚、市教委が調査していた。市内の小中全108校に対しても同様のミスがないか調べる方針。中学の新学習指導要領は来年度から完全実施されるが、一部は前倒しで実施されている。(要旨)
私の第一印象は、
「このようなことは、どこの中学校でも、十分起こりうることで、記事にする方がおかしい」でした。
さらに、「このような記事を通じて、またしても教職員を攻撃する材料に使われたら堪らないな」とも感じました。
私自身は、日頃、学習指導要領を批判的に読んでいるので、かえってこのような「漏れ」は起こしていません。ところが、一部の「上昇志向」の教師は別にして、教師の多数は、無批判あるいは、そのまま鵜吞みで、回された文章を見てしまうので、一昨年度からの理数科の先行実施に対応し切れていないのが実情かもしれません。現場では、指導要領通りに年間計画を実施したとしても、悪い意味でなくて、ある教材はカットしたり、手を抜いたりすることは十分起こりうることです。確かに、八王子の中学は、極端と言うか、旧(というより現行)指導要領のまま正直に実施し過ぎたので、大幅な「漏れ」が見つかったのかもしれませんが。
「おそらくこの問題に気が付いた保護者に対し、十分な説明責任を果たせなかったので、マスコミに漏らしたのでは?」と校長は言っていましたが、校長らしい感想です。
上記の記事の日付を見れば分かるように、まずアサヒが取り上げ、これを他紙が後追いした形です。
これらに対するネット上の意見全てを精査していませんが、おおまかに言って「教師はプロとして失格」という声がある一方で「指導要領にも課題が」という意見が見られました。
私は、この記事をプリントし、何人かの教師仲間に見せ意見を求めました。ある、小学校の教師は「このようなことは小学校では起きないわ。ほとんどの小学校では、市販のワークでテストするので、ワークに合せて授業するから。」という声がありました。これも、ある意味で大問題です。自主的な教育実践が、ほとんど小学校で行われていないことの裏返しです。
中学の教師は「何で問題になるの?、よほど八王子の中学がドジを踏んだのか?」という感じ。
高校の教師は「こんなので記事にされたらたまらない。生徒の実態に応じて、課題の多い高校ではその高校にあった自主編成を、進学校では受験対策を中心にした内容、というように、今までも、そして、これからもやっていかざるを得ない。数年前の社会科の履修漏れもの問題を通じても現場はほとんど変わっていない。そもそも学習指導要領自体が現場や生徒の実態に合っていない」という意見でした。
さて、私の意見です。
1、まずマスコミ自体の問題。
このような問題は全世界に発信すべき問題か?そうだとしたら、もっと本質的な論議を提起すべき。
2、指導要領自体の問題。
このことについては、言わずもがなですね。
3、八王子の中学校の教職員自体の問題。
しかし、われわれの問題でもあります。
4、現場は、学習指導要領沿うことより、大学入試、高校入試、小学校ではワークにしばられて、年間指導計画を立てていないか?
試験に向けた年間計画を立てた方が楽だし、保護者かの批判も浴びにくい?
5、指導要領も含めて、私たちは文科省の文章を批判的に読むということが、本質を理解するのに必要であること。
その後のマスコミも含めた展開の成り行きを心配しましたが,大きな論議に発展せず、今日現在、現場に調査も下りて来ていません。文科省自身においても「この問題を大きくしたくない」という力が働いたのかもしれません。
私たちも、深く論議すると「やぶ蛇」ということになりそうですが、この問題には、マスコミも含めた教育界を取り巻く大きな病根が垣間見えるように思えます。みなさんのご意見は。
9月23日(金)秋分の日に
八王子の中学校、理科大量履修漏れ 古い指導要領で授業 asahi.com2011年8月26日
担当教諭が過って古い学習指導要領をもとに授業をした。
中学校では来年度から、学習内容や授業時間数が今より多い新学習指導要領が実施される。現中3には中1からその一部を前倒しして教える規定だ。
ところが市教委によると、同校では2年間にわたり理科担当の教諭が勘違いして今の指導要領をもとに授業をした。このため「水圧と浮力」の一部など、新指導要領で増えた分の学習内容が欠落した。授業時間数そのものは新指導要領の定めに沿っていたという。(要旨)
「履修漏れ」 対応遅いと不満の声 東京・八王子の中学 asahi.com2011年9月3日
八王子の中学校が3日、臨時の保護者会を開き、放課後などに40~20コマの補習を実施すると説明した。しかし、保護者からは学校の対応の遅さに不満の声が漏れた。
同校では昨年、理科担当教諭の勘違いで古い学習指導要領に沿った授業を行い、新指導要領で増えた内容の一部や実験などを扱わなかった。放課後などに補習を行うという。(要旨)
中学理科指導漏れ 校長の処分検討 八王子市教委 東京新聞2011年8月31日
理科の新しい学習指導要領に基づいた指導内容の一部を教えていなかった問題で、処分を検討する考えを明らかにした。
学校側は当初、市教委に「二年生は九時間分、三年生は六時間分の指導漏れがあった」と説明していたが、市教委が調べたところ、〇九年度の一年生と一〇年度の一、二年生で、新要領が重視する実験や観察が不足していたことが分かり、同校は二年生は二十時間、三年生は四十時間の補習を行うことにした。
三年生は一学期に二十時間を実施済みのため、二学期以降、二、三年生とも二十時間の補習を行う。九月三日に保護者会を開き、経緯を説明して謝罪する。
新要領は二〇一二年度から全面実施され、〇九年度の一年生から一部を前倒しで教えることになっている。同校の一〇年度の一、二年生の年間指導計画は、ほとんど旧課程のままだったが、実際の授業では新要領に基づいた冊子が使われ、市教委は「教えるべき内容をまったく教えない『未履修』はなかったが、不適切な授業だった」と結論づけた。(要旨)
理科新要領踏まえず授業八王子・中2、3年生補習必要 (2011年8月31日 読売新聞)
八王子市教委は30日、昨年度、理科の授業で新学習指導要領を一部踏まえていない年間学習計画が立案されたり、内容が不十分だったりした点があったとして、同校を指導したことを明らかにした。同校は改善のため、3年生(4学級)で40コマ、2年生(同)に20コマの補習が必要と算定しており、同校で実施方法を検討している。
市教委によると、同校が立てた昨年度の理科・2年生(現3年生)の年間指導計画で新要領での追加内容全部にあたる10か所、同・1年生(同2年生)の計画で5か所の内容が欠落していた。
実際の授業でも、本来なら新要領で「観察、実験を通して」学ぶとしている内容なのに写真や資料で済ますなど不十分な部分があったことが判明。今月上旬に同校に対し、補習計画を立てるよう指導した。
ただし、授業数は新要領にのっとり、追加内容部分の補助教材も使われ、単元は網羅されていたとし、市教委は「履修漏れ、未履修はなかった」と結論づけた。
新任の理科講師が学校に指摘して発覚、市教委が調査していた。市内の小中全108校に対しても同様のミスがないか調べる方針。中学の新学習指導要領は来年度から完全実施されるが、一部は前倒しで実施されている。(要旨)
私の第一印象は、
「このようなことは、どこの中学校でも、十分起こりうることで、記事にする方がおかしい」でした。
さらに、「このような記事を通じて、またしても教職員を攻撃する材料に使われたら堪らないな」とも感じました。
私自身は、日頃、学習指導要領を批判的に読んでいるので、かえってこのような「漏れ」は起こしていません。ところが、一部の「上昇志向」の教師は別にして、教師の多数は、無批判あるいは、そのまま鵜吞みで、回された文章を見てしまうので、一昨年度からの理数科の先行実施に対応し切れていないのが実情かもしれません。現場では、指導要領通りに年間計画を実施したとしても、悪い意味でなくて、ある教材はカットしたり、手を抜いたりすることは十分起こりうることです。確かに、八王子の中学は、極端と言うか、旧(というより現行)指導要領のまま正直に実施し過ぎたので、大幅な「漏れ」が見つかったのかもしれませんが。
「おそらくこの問題に気が付いた保護者に対し、十分な説明責任を果たせなかったので、マスコミに漏らしたのでは?」と校長は言っていましたが、校長らしい感想です。
上記の記事の日付を見れば分かるように、まずアサヒが取り上げ、これを他紙が後追いした形です。
これらに対するネット上の意見全てを精査していませんが、おおまかに言って「教師はプロとして失格」という声がある一方で「指導要領にも課題が」という意見が見られました。
私は、この記事をプリントし、何人かの教師仲間に見せ意見を求めました。ある、小学校の教師は「このようなことは小学校では起きないわ。ほとんどの小学校では、市販のワークでテストするので、ワークに合せて授業するから。」という声がありました。これも、ある意味で大問題です。自主的な教育実践が、ほとんど小学校で行われていないことの裏返しです。
中学の教師は「何で問題になるの?、よほど八王子の中学がドジを踏んだのか?」という感じ。
高校の教師は「こんなので記事にされたらたまらない。生徒の実態に応じて、課題の多い高校ではその高校にあった自主編成を、進学校では受験対策を中心にした内容、というように、今までも、そして、これからもやっていかざるを得ない。数年前の社会科の履修漏れもの問題を通じても現場はほとんど変わっていない。そもそも学習指導要領自体が現場や生徒の実態に合っていない」という意見でした。
さて、私の意見です。
1、まずマスコミ自体の問題。
このような問題は全世界に発信すべき問題か?そうだとしたら、もっと本質的な論議を提起すべき。
2、指導要領自体の問題。
このことについては、言わずもがなですね。
3、八王子の中学校の教職員自体の問題。
しかし、われわれの問題でもあります。
4、現場は、学習指導要領沿うことより、大学入試、高校入試、小学校ではワークにしばられて、年間指導計画を立てていないか?
試験に向けた年間計画を立てた方が楽だし、保護者かの批判も浴びにくい?
5、指導要領も含めて、私たちは文科省の文章を批判的に読むということが、本質を理解するのに必要であること。
その後のマスコミも含めた展開の成り行きを心配しましたが,大きな論議に発展せず、今日現在、現場に調査も下りて来ていません。文科省自身においても「この問題を大きくしたくない」という力が働いたのかもしれません。
私たちも、深く論議すると「やぶ蛇」ということになりそうですが、この問題には、マスコミも含めた教育界を取り巻く大きな病根が垣間見えるように思えます。みなさんのご意見は。
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