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社会科の授業
食料自給率

                            6月30日(水)

 小学校5年生の社会科の授業を観る機会がありました。
 食料自給率について考えさせる授業であったので、興味深く参観しました。


会場の小学校


会場校の第1理科室、あまり使われていないようです。


控え室のコンピューター室。広くて使いやすそうです。
松戸の小学校はおおむねこのような作りになっているようですが、それに比べて中学校のコンピューター室は普通教室を使っているので、この3分の1の広さです。


専修大松戸中高が隣に見えます。


第2理科室。小学校で2つも理科室があるのは恵まれています。
主にこの理科室を使っているようです。


5年生の教室の後ろに置かれたメダカを育てているペットボトル。


小学校では、はぼ?全員、水飲み用の出納を持参しているようです。
松戸の中学校でも、持参は可ですが、ここまで持って来てはいないです。


前年度末に、全ての教室に大型のプラズマテレビが設置されたようです。
パソコンと連動しています。
子ども達はたいへん元気でした。
授業者は、2年目の若い教師です。


これいいですね。


ヘチマでしょうか?ゴーヤでしょうか?


実物のハンバーガーや天ぷらそば、ディスプレイも使いながら授業が始まりました。




教室に2台の扇風機が設置されていました。
このような扇風機は、小学校によってあったりなかったりのようです。
PTAの寄付でしょうか?

元気一杯の子ども達と丁寧なやりとりが見られました。
これからの授業展開が楽しみです。



授業を見て

『これからの食糧生産とわたしたち』
 今までの学習の確認をしてから
「ハンバーガー対天ぷらそば」と称し
「ハンバーガーと天ぷらそばの材料には日本で作られた物はどれくらいあるのだろうか」
を実物を見せながら比較。
ハンバーガーの方が多いと思う理由は「マクドナルドが米国の会社だから」
天ぷらそばの方が日本の材料が多いと思う理由は「材料の名にカタカナが1つもない」
という発言がユニークであった。
結論は「天ぷらそばの方が日本で作くられた材料が少ない」ということであった。
(私の予想は、天ぷらそばはネギと水だけのはずである。)何故?という声が生徒からあった。
この結論の場合は、飼料自給率を考慮ししていない。

このような結論には異論がある。おそらくある資料の食料自給率の統計から導き出された教師の結論であろうが、この「食料自給率」というしろものがくせもので、何を基準にするかで、統計上の結論がさまざまである。中学生以上ならば出典をあきらかにしなければならないが、小学生では難しい。そうだとしても、基準を出来るだけ明確にした1つの結論として示さなければならないが、そのことが明確でないのが残念であった。

「なぜ、自分たちの食べ物(この表現も気になった)は外国から食料を輸入していくるのか」という問いに
「材料が足りなくなるから」という発言があった。

日本で自給出来る食品(加工品ーポン酢も項目にあり、資料として不十分と感じた)の資料が配布され、項目ごとに何が自給率が高く,何が低いのか等の問題が提示されて、ノートに書くこと課題が出された。いきなり資料をみた感想を書いている子も見られ、ノートに書く内容が混乱しているようであった。

この配布されたプリントの資料が変で、
ポン酢など加工品と並んで「ブタ肉5%とり肉7%卵9%」と書かれている。どこからの出典か聞きたかったのだが、後で協議会後に授業者に聞くと、ネットの情報を参考にして、自分でまとめたらしい。
食料自給率の統計は、カロリーベースか生産額ベースか、によってぜんぜん変わってしまうものである。農水省の統計では一昨年のもので「ブタ肉52%(6%)とり肉70%(8%)卵96%(11%)」(かっこ内は飼料自給率を考慮したもの)である。この配布されたプリントの資料は、「()」内の飼料自給率を考慮したものを使ったのであろう。

ノートに書かれた各食品の自給率が低いことを簡単に生徒が発表した後に
パソコンからディスプレイに、各国の食料需(と示された資料には表示されていた)給率(自給率)が、アニメーションで表示された。
「諸外国に比べて日本の食料自給率は下がる一方だ」と気がついた生徒もいた。

授業のまとめとしては
『日本の食糧(食料)自給率は40%と外国に比べてとても低い』
であるが「どうしてかな」と教師が発問した。(もうチャイムが鳴っているので、この発問は次回で良いと思うのだが)
「土地が狭いから」等、何人か発表した。
ある女の子が教師に
「米は余っているというのに米は95%と書かれていて、どうして輸入しているのですか?」と質問していた。教師は「米はよくとれるときととれないときがあり、この統計はある年のものなので」というような答え方をしていたが、この指摘は大変鋭い意見である。授業後に私は彼女を誉めてあげた。

授業を見て
 このような課題に取り組む中で、生徒同士の討論が欲しいと思った。一部では、生徒同士の質問や討論も見られたが,授業の多くは、対教師とのやりとりにとどまっていたように思う。時間的に無理なら、「ハンバーガー対天ぷらそば」よりも「日本の食料自給率は何%だろうか」という課題で、予想を立てさせ、その根拠を上げる中で討論させたい、と思う。今後の授業で、「自分たちがどうすべきか」を考えさせていってほしい。

生徒の反応は大変良く、教師の発問に食いついている。
理科的な環境から見たが、教室環境も努力が見られた。掲げられた英語の世界地図は、小学校に導入された英語教育のせいだろうか。

協議会では、筑波大付属小の都留覚(さとし)氏が「授業を資料調べ中心に」と言っていたが、筑波大付属小での話と思われた。


食料自給率について考えていること

 授業の中で「もし、外国から食料が輸入出来なかったら、どんな食事内容になるかな?」とディスプレイにイモ類等、穀物中心の食事が掲示されたとき、ある生徒が「戦時中の食事みたい」と言っていた。戦時中と連想する生徒がいることに多少驚いたが、残念ながら「ヘルシーな食事」という声はなかった。

 現在の日本の農業を語るとき「日本の食料自給率40%」ということが、食の危機感と同時に語られる。私はこの論法に疑問を感じるようになったのは5年程前からである。私自身、10代後半から食品に興味があり「日本の農業の危機的な状況に解決策は?」と考えていた。若い頃は「とにかく、食料増産が大切」と微生物に興味を抱いたのも、その頃である。
 授業でも「日本は外国での戦争などのせいで、食料が輸入されなくなると、たくさんの餓死者が出てしまう。その点からも、世界の国々は仲良くしなければ」と話したものである。

 話が変わるが、私は、基本的に車通勤である。そのために電車に乗ることは、2・3週間に1度である。だからこそ、電車内の、ファッションや人々の風俗を新鮮?な目で見ることがある。最近よく感じる1つに「昔に比べて、ガタイの大きな人が増えたなあ」と思うことは中高年になったのだから、若い世代が大いくなっていて、当然のことなのだが,もう一つの男も女も「肥えた人(差別用語は避けます)が増えたなあ」とつくづく感じることが多い。そのときに、この食料自給率のことを考えるのだ。子ども達の肥満が問題になって久しい。子ども達の肥満が問題になり出したころは、それほど大人の肥満は問題になっていなかったように思う。この頃は、どの新聞をみても、毎日どこかのページには、広告にダイエットのことが書かれている。
 一方、学校現場の給食指導では「0(ゼロ)残滓」が語られる。
  どこか変である。
「日本の食料自給率40%」という数字も農水省が、予算獲得のために使っている面もある。何を基準にしているか、で数字は大幅に変わる。多くの食料を輸入していることは間違いないことであるが。

 かなり大ざっぱな言い方であるが、日本の食品の4分の1は捨てられているようだ。このことについては様々な統計があるので、ここでは具体的に上げない。

 結論として
 穀類を中心にした食事にすれば、人々はより健康的な生活を送れるはずだ。飼料自給率も大幅に上がるであろう。今のままの農業生産高では、日本人が生存出来る最低カロリーは、確かに保証されないと思われるが,戦時中のようにとは言わないけれど、休耕田を再利用し、荒れ果てた農村を再開発すれば、自給率100%は難しくないと私には思えるのだ。もちろんエネルギー自給率のことも考えないと、真の食料自給率の解決は難しい。私たちのライフスタイルを大きく変えない限り根本的な解決とはならない。

 そこに至(いたる)までの1つの提案として、マンション住まいの人は難しいかも知れないが『日本人1人1人が、まずは1坪菜園から始める。そのことによって、食料問題や農業問題、気象変動、病害虫の問題、廃棄物問題、水問題、ようするに環境問題を日常的に意識することが出来る。ひいては経済問題をも自分の問題として日常的に意識化することが可能となる』と私は考えている。
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2010.06.30 Wed l その他 l COM(0) TB(0) l top ▲