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 年末に思う
 2007年を終えるにあたっての随筆的なことを

 葛飾区の荒川さんのビラ配りの高等裁判所の判決が先日の11日に出ました。不当極まりない判決であるし、日本の司法の情けない実態、および国家権力の底なしの嫌らしさに怒りを通り越した感情を抱きました。
 堀川さんの地裁判決直前、会場一杯になったリリオホールでの集会に参加し、その直後に地裁で当然の無罪判決が出た関係から、今回のような判決が出るとは思ってもいませんでした。私は楽観視していたわけですが、国家権力というものは、そんなに甘いものではないことを改めて思い知らされました。

 荒川さんのことを知らない方もいらっしゃるかも知れないので
記事の一部のみ



葛飾ビラ弾圧 高裁判決に厳しい目

 東京都葛飾区のマンションで日本共産党の「都議会報告」などのビラを配った僧侶・荒川庸生さん(60)の行為について、一審の無罪判決を覆し、有罪にした東京高裁判決(11日)に怒りが広がり、荒川さんへの激励が相次いでいます。マスコミは「常識を欠いた逆転判決」「表現の自由を押さえつけた」などときびしい批判の目を向けています。

各紙社説
常識欠いた判決 表現の自由守れ
 葛飾ビラ弾圧事件でビラを配った荒川庸生さん(60)にたいし、「住居侵入罪に当たる」と罰金五万円の有罪にした東京高裁判決に、新聞各紙の十三日付社説は、いっせいに批判的見解を表明しました。
 「政治の自由を奪うまい」との見出しを掲げたのは「東京」。「宅配食品や不動産などの数々の商業ビラの投函は、日常的なことである」として、チラシの投函を禁ずる張り紙があったことを「有力な根拠」に有罪とした判決に「まるで平穏の価値が“金科玉条”となって、表現の自由という大きな価値を押さえつけた印象だ」と疑問を投げかけます。
 「注意が必要」として、「反戦ビラの配布や国家公務員による政党ビラ配布で、有罪判決が続いている」ことを指摘。「言論を発露する一手段としてビラはある。民主主義の根幹は、その自由を保障することにある。もし、取り締まりに政治的意図があるのなら、“微罪”にくるんだ『言論封じ』といわれても仕方がない」と言論封じへ警告を発しています。
 「朝日」は「常識を欠いた逆転判決」と批判しています。「ビラ配りに住居侵入罪を適用することは、まだ社会的な合意になっていない」とした一審判決の方が「うなずける」とし、「住職の行動が刑罰を科さなければならないほど悪質なものとはとても思えないからだ」とのべています。
 自衛隊のイラク派遣反対のビラを防衛庁官舎で配って住居侵入罪に問われた事件も、東京高裁が一審の無罪判決を取り消し、罰金刑を言い渡しています。このことにもふれ、「表現の自由への目配りを欠いた判決が高裁で相次いでいることは心配だ」とのべ、「常識に立ち戻った判断」を最高裁に求めています。
 「毎日」は、「ビラは小さな声を多数に伝えるために手軽で有効な手段だ。民主主義社会では表現の自由の一環として、ビラ配りの自由が保障されるべきことを改めて共通認識としたい」と表明。「自分の意見と異なるビラや不要な広告を配られるのは迷惑だとしても、社会全体の利益を優先し、表現の自由を守るために受忍する姿勢が求められる」としています。
 琉球新報は十四日付社説で「言論の『不自由』が加速しそうな判決だ」と憂慮を表明。「政府に批判的な活動に対する『弾圧』的な印象を与える」と「弾圧」の文言を使い、最後にこう訴えています。「特高警察が横行した言論の不自由な時代が日本にはあった。ビラ配りの有罪判決が、言論封殺の新たな戦前回帰につながることがないよう、司法判断を注視したい」


 なお荒川さんは2004年の年末から翌年にかけて、23日間も不当に拘留されていた、ということもつけ加えておきます。

 あるブログに「開店知らせのチラシなら良いが共産党のビラは迷惑だ。」という声が書かれていました。それは価値観の相違。「開店の知らせは嫌だが、宗教の勧誘チラシは良い」という人もいるでしょう。そのような多様な価値観を認め合うのが成熟した民主主義社会でもあるし、そんな大業なことを言わなくても、物理的な攻撃がされない限り、互いの価値観を認め合うのが『大人』というものです。そのようなことも受け入れられないような未熟な「大人」が蔓延しているのが現代社会なのでしょうか。

 ビラ配布の自由を守る会

 その後の13日に以下のようなニュースもネットで読みました。

元郵便職員、失職「妥当」 学生時代に反戦デモ 最高裁
2007年12月13日12時43分
 大学時代に反戦デモに参加して公務執行妨害罪で有罪判決を受けたことを理由に27年間働いた国家公務員を失職させたのは妥当か。失職の撤回を希望する元郵便局職員が地位確認などを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第一小法廷(横尾和子裁判長)は13日、上告を棄却した。元職員の敗訴が確定した。
 神奈川県藤沢市の元藤沢郵便局職員稲田明郎さん(57)は72年9月、同県相模原市でベトナム戦争に反対する戦車輸送阻止闘争に参加。その後の73年4月に国家公務員に採用された。同年12月に懲役4カ月執行猶予2年の刑が確定したが、それを明らかにせずに働き続けた。00年9月に「逮捕されたことがある」との匿名の電話が関東郵政局にあり、同年11月になって73年にさかのぼって失職した。
 稲田さんは国(日本郵政グループの郵便事業会社が承継)を提訴。禁固以上の刑確定で失職するとした国家公務員法の規定について「私企業に比べて不合理な差別で違憲だ」などと主張した。
 第一小法廷の5人の裁判官のうち4人の多数意見は「規定は公務に対する国民の信頼確保を目的としており、合憲だ」と指摘。「長年働けたのは有罪判決を隠し通してきたためで、失職させたとしても信義則に反し権利の乱用にあたるとはいえない」と述べた。
 一方、裁判官出身の泉徳治裁判官は「執行猶予期間が過ぎた後も約25年が経過しており、この職員の公務に対する国民の信頼は回復され、公務から排除すべき必要性は消えた。生計の維持の面でも過大な不利益を課すのは許されない」とする反対意見を述べた。
 稲田さんは、過去に受け取った給与の返還は求められないが、退職金は受け取れなかった。判決後に「勝てなかったのは残念だが、1人の裁判官でも不条理だと指摘してもらえたのは救いだ」と話した。asahi.com


 このニュースを読んで、私はますます寒々としたものを感じました。
 国家公務員ではないので国家公務員法の詳しい内容は知りませんが、記事の内容をそのまま受けとるとして「禁固以上の刑を受けたものは失職する」というならば、現体制の国家権力に反逆し、禁固刑を受けたものは、いかなるものも国家公務員になれないのでしょうか。地方公務員もこれに準じるのでしょうか。
 ということになると、現体制当局の国家体制に異議を唱えるものは国家の行政には従事出来ないことになり「国家公務員というものは、教育関係者も含めて、すべて現体制国家を支える立場に立たなければならない」ということになります。暴力破壊分子が許されないのは当然ですが、上記のビラ配り等によるでっち上げで、禁固判決を受けるなんてことは今の世の中では当然あり得ることです。
 生徒や学生や市民が「公的な機関に従事しているもの」に対して敵対視することがあるのも当然と思えてくるのですが、如何考えますか。

国家公務員法
第38条 次の各号のいずれかに該当する者は、人事院規則の定める場合を除くほか、官職に就く能力を有しない。
1.成年被後見人又は被保佐人
2.禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終るまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
3.懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者
4.人事院の人事官又は事務総長の職にあつて、第109条から第111条までに規定する罪を犯し刑に処せられた者
5.日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者

地方公務員法
第16条 次の各号の一に該当する者は、条例て定める場合を除くほか、職員となり、又は競争試験若しくは選考を受けることができない。
1.成年被後見人又は被保佐人
2.禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
3.当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者
4.人事委員会又は公平委員会の委員の職にあつて、第5章に規定する罪を犯し刑に処せられた者
5.日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者


 改めて公務員法を読み解くと
 今回の失職した元郵便局員は、裁判中に郵便局員として採用されたが、判決後には失職、ということになるのでしょう。
 確かに杓子定規に法に沿って判決を下すと、上記のような判決になるのでしょうが、20年以上前ということであり、時効という観点からはどうなのでしょうか。
 ただ、朝日の記事も少し問題かな?とは思います。毎日は

反戦デモ失職裁判:元郵便局員の上告棄却、敗訴が確定
 27年前のベトナム反戦デモで有罪判決を受けたことを理由に、00年に「失職」とされた神奈川県の元郵便局員の男性(57)が、国などを相手に職場復帰などを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(横尾和子裁判長)は12日、男性の上告を棄却、男性側敗訴が確定した。
 男性側は「定年まであと10年という、やり直しのきかない時期に退職手当もなく職を失うのは不当」と主張したが、小法廷は1、2審と同様に「27年後になったのは男性が隠していたからだ」と退けた。判決は5人中4人の多数意見。泉徳治裁判官は「民法の時効(20年)を超す長期間も無事勤務を続けており信義則上、失職扱いは許されない」と反対意見を述べた。
 判決によると、男性は73年4月に郵便局員に就いた。学生時代のデモ行進中に機動隊員を殴った公務執行妨害罪で同12月に執行猶予付きの懲役刑が確定したが、上司に告げずに勤務。00年11月になって、匿名電話をきっかけに発覚し、禁固以上の刑が確定すれば失職するとした国家公務員法に基づき、確定時にさかのぼり失職したとの通知を受けた。


 という記事。この毎日の記事の方が正確に捉えているように思えます。

 話は飛んで、ついで?に以下のような記事も見つけました。
 今年の11月に犬吠埼に行った時にもずいぶん侵入禁止の所があったのだけど、新たな亀裂?ということなのでしょうか?行った時に、崖側をよく確認しなかったので何とも言えないけれど。とにかく『地球の大地は常に変化している』ということですね。

犬吠埼灯台前の公園 地割れで一部立ち入り禁止[ 12月13日 19時28分 ]毎日
 ◇千葉県銚子市の犬吠埼(いぬぼうさき)灯台前の公園に、地割れ(長さ約20メートル、幅10センチ)ができているのが見つかった。管理する県は土のうで囲んで防護柵を設け、一部を立ち入り禁止にした。
 ◇元日前後の約10日間は地軸の傾きの関係で、銚子市の日の出は根室より早い。離島や山頂を除けば「日本一早い初日の出」が拝めるため、毎年多数の観光客が訪れる。
 ◇地割れの原因は不明だが、名所の評判にかかわると、銚子市は安全対策のためガードマンの配置を検討している。(記事の一部)
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2007.12.28 Fri l その他 l COM(0) TB(0) l top ▲